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2011年11月16日 (水)

出張講義:東京理科大学 辻孝先生『移植医療の現状と再生医療』

高校1年生は学習合宿から帰り、14日の午前中はベネッセの模試を受け、その午後に東京理科大学の辻先生をお迎えして講演をしていただきました。講演の流れは以下のような組み立てでした。

1)学問、特に研究との出会い、研究者になったわけ
2)移植医療の現状と再生医療
3)現在の再生医療と未来
4)未来の再生医療として、私たちが取り組んでいる研究の紹介

P1000818 辻先生は大学で『試験管の中の生命』という本と出会い、学問と出会ったとおっしゃいました。大学とは教科書の勉強ではなく、誰もしていないことをゼロから創りだすところ。そこに学問の面白さがある。そうして現在再生医療の基礎研究をされているという風に語られて、本題の研究の話をされました。

わたしたちの体はいったん失うと二度と取り戻す事の出来ない組織をたくさん抱えています。したがって初めに移植医療の現状の説明をされましたが、それはなかなか衝撃的なものでした。日本ではまだまだ移植医療はあまり症例がありませんが、アメリカなどではかなりの頻度で行われていること。また現実に起こったこととして、自分の子供が不治の病におかされ、それを救うドナーを造るために25%の適合率にかけてドナーとしての第2子を産み、実際にその子供が1歳になったときにドナーとして骨髄液を採取したことや、アメリカの某優良企業が死体から心臓の弁やアキレス腱などを取り出し冷凍保存してそれを販売していること、などなど・・・移植医療とは臓器移植も含めて生命倫理などさまざまな問題を抱える医療行為です。

P1000874 辻先生はそうした医療の実態に、生物学の見地から本人の細胞から必要な組織を再生する、といった再生医療に取り組まれ、毛髪と歯の再生に成功されて2007年に世界中でニュースになるような報告をされています。歯の再生についても細胞の種を歯根に埋めても歯ができるまで5年~10年もかかってしまう。それでは実用化できないから、骨の組織まで含めた歯をあらかじめ再生し、骨ごと埋め込んで再生させることに成功されたのです。現在は肝臓を丸ごと再生する研究に挑戦されており、そのための研究スタッフの学生50人と一緒に取り組まれているそうです。

こんな風に大学での学問とは何か、誰かのためになることで、誰もしていないことをゼロから創りだす、そこに学問のだいご味があるのだ、というお話はとても説得力がありすごいなあと感動しました。理系の看護系や生物学に興味のある生徒たちにとっては特に貴重な時間となり、感動を呼びました。

《生徒の感想》

Iさん:すごく面白いお話でした。髪の毛の再生とか歯の再生などすごい研究だし、髪の毛や歯がなくてつらい人や不便がっている人にはとても嬉しいことだと思うし、希望にもなると思います。今回の講演を聴いてすごく感動しました。こんなことが日本でも研究がおこなわれているとは思っていなかったのでとても驚きました。日本の医療技術ってこんなに進んでいるんだなと思って感心しました。これが最先端技術っていうのだと実感しました。

動物の臓器を人間に移植したというケースにも驚かされました。自分の体に合うドナーも20万人から30万人に一人とおっしゃっていたと思うのですが、ドナーを見つけるのはそんな簡単化ことじゃないんだと改めて思いました。ドナーが見つからずなくなる運命をたどる人が世界中には沢山いるんだと思います。そんな方々のためにももっと再生医療が発展、発達していくことを望みたいです。私は今まで薬学部を目指していましたが、こういう研究もしてみたいと思うようになりました。世界中で苦しんでいる人、困っている人のために希望を見出してあげたい、助けてあげたいです。

今回は本当に貴重な講演をありがとうございました。本当に面白かったです。もっと再生医療のことについて知りたいと思いました。

Mさん:私は生物とか医療系に興味があったし、理科大の先生のお話が聴けるということで、内心すごくうれしかったです。今、けっこう再生医療が注目されていて、IPS細胞やES細胞など、テレビや新聞で目にすると他のことそっちのけで見てしまいます。でもやっぱり難しくて疑問が残ってしまっていました。だから今回お話が聞けて本当によかったです。

講演で私が一番驚いたのはガラスの中で肝臓を育てることができる!!というところです。そんなことはSFや空想の世界の出来事だと思っていました。今、歯や髪などの再生技術が発達してきているけれど、もし将来的に心臓や白血球などを再生することができたらどんなにいいかと思います。でも、この再生技術には卵子を使わなければならないので、そこにどこから生き物ととらえるのか、人権などの問題も生じてくるのだと思いました。わたしはこの技術をもっと発展させたいと思いましたが、同時に倫理的な問題もあり難しいことではあると感じます。でもわたしは再生医療の研究に惹かれるので、そんな研究ができるように基礎学力をあげていきたいし、将来的には白血病を治せるような研究がしたいと思っています。