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2013年12月 5日 (木)

姜尚中さん講演会「心について」が開催されました

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 12月3日、図書委員会主催による講演会が全校で開催されました。今年の講師は政治学者の姜尚中さんです。姜さんは熊本県出身で、早稲田大学大学院を修了し、旧西ドイツ、エアランゲン大学に留学の後、国際基督教大学助教授・準教授、東京大学大学院情報学環教授を経て、現在は聖学院大学全学教授職についていらっしゃいます。各種メディアで発言され、執筆・講演活動を行われています。

 著者は多数で、主な著書に『オリエンタリズムの彼方へ――近代文化批判』、『マックス・ウェーバーと近代』、『ナショナリズムの克服』、『姜尚中の政治学入門』、『日朝関係の克服』、『在日』、『ニッポン・サバイバル』、『愛国の作法』、『悩む力』、『母~オモニ』があり、本年出版された『心』は大変な話題になりました。

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 図書委員会では講演会に向けて姜さんが書かれた『心』や『ニッポンサバイバル』で読書会を行ったり、姜さんが出演されたTV番組を見たりし、その内容についての新聞の発行を行うとともに、HRでの読書会を企画するなど、講演会に向けた意識づくりを行ってきました。

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 各学年でも姜さんが出演されたNHK番組「わたしが子どもだったころ」や著書の『心』について特集された「特報首都圏」を観るとともに、姜さんの書かれた著書『心』『ニッポンサバイバル』や新聞記事などを読んだりしてこの日に備えました。また高校生では、先ほど紹介しましたように図書委員会が発案してHRの時間を使い『心』をテキストとして読書会を開き、講演会に向け意識づくりをした学年もありました。

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 姜さんは壇上に上がると「こんなに大勢の中高生を目の前に講演をするのは初めてで、とても緊張する」と話され、ご自身と会場内の生徒の緊張をほぐすと、ご自身の少年時代について語り始められました。

 大変わんぱくだった小学生時代から、野球の選手になるという夢が叶いそうにないと気づき初めて味わった挫折感、次第に引っ込み思案や不登校がちになった中高時代について語られ、姜さんの人生で最も大きな転機である、大学での「心友」との出会いについて話は進みます。姜さんは生徒にまず伝えたいこととして、「心友を一人得ること」を挙げます。

「心友とは、親しい友ではなく、自分のことを洗いざらい打ち明けても受けとめてくれる人、その人を目の前にすると素直な気持ちになれる人のこと。人は話をするよりも話を聞くことの方が難しいものです。」と生徒に語りかけます。「心友に出会うのはとても難しい。そういう存在に出会うためには、出会いを待っていてはダメ。苦労すること、無駄な事をやってみることが大切です。学校や大学で大事な事は「師」や「心友」に出会うこと。人を信じることは難しい。自分が心友と呼べる彼に出会い、信じることができたのは本当に幸せな事だった。」 

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 一方で姜さんはこう続けます。「人は幸せになることの為に生きているわけではない。幸せになりたくてもなれないこともある。幸せになることを追求するよりも、人生の意味を考え、生きがいのある人生を目指してほしい。」さらに続けます。「人生には幸せではない辛い時期もあるし、人生の意味が分からない時もある。しかしそういった時にも意味があって無駄ことではない。」

「私たちは幸せや、便利さなど「光」あるところだけを見がちである。しかし、その光が強くなればなるほど、大きな影も生まれている。これからの時代は人もモノと同じように使い捨ての時代にますますなっていくのではないかと思う。つらいことも多いはずだが、人から教わったことではなく、自分がなぜ生きるのかをしっかり考えることが大事だと思う。」姜さんは生徒に生きる意味を問い詰めてほしいと語りかけました。

 全校から寄せられた質問にも答えていただきました。いくつかご紹介します。

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質問:『ニッポンサバイバル』の第4章の友人関係が印象に残っています。その中で、友人関係では、身の回りの話題になりがちだが、平和など、そこから一歩進んだ話ができたらいい、とありました。ですが、そういう話は重たくて逆に友人間で話題に挙げるのは難しいのではないか…、と思いました。どうしたら、「一歩進んだ話」を真剣に語り合える友人関係が築けると思いますか?

姜さん:一つの方法として、少人数で読書会をするのがよいのではないかと思います。急に「一歩進んだ話」の話題を振るのではなく、同じ本を読むことでそのことが共通の話題となり、語り合いやすくなるのではないないでしょうか。


質問:神奈川学園では、沖縄・四万十・水俣・京都奈良の4方面に分かれて、1年を通して各地の現状を学ぶフィールド・ワークの取り組みがあります。私は、このフィールド・ワークの取り組みで、11月に沖縄へ行き、戦争を体験した方のお話を伺いました。その方は、「大人になったら平和の世の中を作ってほしい」とおっしゃっていました。私たちは、まだ中高生で、社会から見たら小さな存在ですが、姜さんは、今の私たちが平和な世の中を作るための第一歩として何ができると思いますか?

姜さん:想像力を働かすことが大切です。人間は嫌なものをどこか周辺の見えないところに置いてしまうものです。何かが起きた時自分の問題として捉えるには想像力が必要です。その想像力を養うには、歴史を知る、過去の体験者の証言・声を知るということが大切です。体験者の話を聞いたり、過去に書かれた本などから学ぶことが大切だと思います。

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質問:私は、現在、将来の夢があり、やらなければいけないと思いながらも、なかなか勉強にやる気が出ません。姜さんにもこのような時はありましたか?また、このような時、やる気を出す方法があれば、教えてください。

姜さん:勉強に対するやる気が起きるのには、「この先生だから」とか「この本に出会ったから」ということが関わっているように思います。ことがらは人を揺り動かしません。人は人を通じてやる気を出します。本や人に興味を持ってほしいですね。この人のようになってみたい、模倣したいと思える人を探すということが大切だと思います。

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このほかにも沢山お話をして下さいました。友人関係のこと、進路のこと、そして人生のこと。生徒に分かりやすい言葉を選んで姜先生は語りかけて下さいました。沢山のエールをいただき、また生徒にとって生きる意味を自分に問い直すきっかけをいただいた貴重な2時間でした。

生徒の感想をご紹介します

私が姜さんのお話しを伺って一番心に残ったところは「人生で一人だけ心友をつくればいい」というところです。

小学校と中学校では友だちが全然違く、初めて会う人・話す人がほとんどで最初はどうやっていけばいいか分かりませんでした。みんながどんどん仲良くなっていき、自分だけが仲良くできなかったらどうしようなどの不安がありました。でも、日がたつにつれ、みんなと話すことが普通になり、学校に行くことがとても楽しくなりました。

今日この言葉を聞いて、「あぁ、そうだったんだ」と心が軽くなりました。自分でも気づかないうちに、早く友だちを作りたい、信じあえる人を見つけたいとあせっていたのかなと思います。あせらずに“心友”をみつけたいです。(中1)

 

今日姜さんのお話しを聞いて生と死の関係について深く考えるきっかけができたと思います。生きることを光だとすると必ず影があり、それが死であると思います。

姜さんもおっしゃっていた通り、その光が大きければ大きいほど影も大きくなります。生きている時間を楽しんだり充実すればするほど死に対しての恐怖があると思いました。生の時間で多くの人に愛されたり、また自分から多くの人を愛したりすることで死という現実味のないものを恐ろしいと感じるのだと思います。

私は死に対して恐怖を持っています。それは生きている今に対して幸福感を持っているからだと思います。それは一人で創りあげたものではありません。私の多くの友人や家族そして好きなことに支えられているのだと思います。

今、私はそれを失いたくないから死というものが怖いのだと思います。今、私を幸せにしてくれるものや人に対して常日ごろから感謝の気持ちを持つことが大切であると気付きました。(高2)

 

姜さんのお話を伺ってこれからの生き方であったり、考えさせられることがたくさんありました。進路を決める上でも姜さんの講演を聞くことができてよかったと思いました。

日々生活していく中で何のために生きているのか自分自身について考えられ、幸せで楽しい人生が全てではないと分かりました。苦しんでいても生きがいとなるものを見つけられたり、人生は自分の考え方により変わっていくものだと思いました。(高1)