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2014年4月16日 (水)

《高校3年》 崔善愛さん講演会

ピアニストであり、『父とショパン』の著者である崔善愛(チェ・ソンエ)さんに講演と演奏をしていただきました。

最初に崔さんは4月5日付の東京新聞に掲載された写真を示し、1曲弾いて下さいました。曲はショパンの「ノクターン第3番」。写真は「ショパンと治安部隊」と題されており、「私がショパンを弾く時のイメージそのままの写真です」と語られました。整然と並び、一人ひとりの個性が見えない権力の象徴である治安部隊と、生身の演奏家が音楽を奏でているその対比が強烈な印象を残す1枚です。生徒たちは写真を見ながら崔さんのピアノの音に耳を傾けました。

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崔さんは北九州市の教会で生まれ育った在日韓国人の方です。幼少期に名前が他の子どもと違っていることで「自分が日本人でないことを分かってショックだった」と仰いました。現在のようにK-Popや韓国ドラマの影響で友好的なイメージを持ち難かった時期に、常に自身のアイデンティティを考えながら暮らしていたことが伝わってきました。14歳の時に初めて「外国人登録」のために指紋押捺を行い、3年おきに押捺を繰り返していたそうですが、ある時妹さんが「指紋を押さない」という選択をした時には「理不尽なことはこの世にはたくさんある」と説得を試みたこともあったそうです。

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その後の人生の中で、友人が被差別部落出身であることを知り、「社会に対する怒り」を体の奥底から感じて自らも指紋押捺拒否をすることになります。繰り返される裁判の中で、韓国と日本の関係を徹底的に学び続け、指紋押捺の背景を知って理不尽さを訴え続けてきました。ショパンが故国ポーランドに帰らなかったという事実を学び、その音楽に民族の痛みが反映されていることにも気付かれたそうです。崔さん自身はアメリカへの留学許可が下りた時に「再入国不許可」になるかもしれないことを覚悟してアメリカ領事館を訪ねました。その時に係の女性から「あなたが日本に帰ってこられないはずがない」という言葉をかけられ、留学を決意したという体験も話して下さり、生徒は一言も聞き洩らすまいと真剣な表情で聞き入っていました。

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講演と演奏が一区切りしたところで、質問と感想を会場から募りました。数人の生徒が手を挙げて、自分の言葉で質問と感想を伝えました。「昨年度講演していただいた姜尚中さんも大学生の時に韓国名に変えたと仰っていました。社会の授業で日韓関係が出てくるたびにどんな気持ちでしたか」「裁判をしている時に言葉が伝わらなくてとても辛かったと仰っていましたが、その時に支えになっていたことは何ですか」「世の中には不条理なことが沢山あるのだと知りました。だからこそ通り過ぎたり、見ないようにするのではなく、色々なことを学んで地道に訴えていくことが大事だと思いました」 … 崔さんからはその一つひとつに丁寧に答えて下さりながら、「何のために学ぶのか … それは、人間とは何かを分かろうとするため」というメッセージをまとめとして送っていただきました。その言葉を聞いて、会場に凛とした空気が流れましたし、「学ぶ意味」を生徒一人ひとりが自らをくぐらせて考えました。

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崔さんのピアノ演奏の迫力と講演会でうかがった生き方は、これからも機会あるごとに生徒を支えていくと思えた時間になりました。