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2016年5月26日 (木)

《高校2年》 横浜市立大学・上村先生の講演会がありました。

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5月16日(月)、高校2年生の「探究」の授業の一環として、横浜市立大学の上村雄彦先生の講演会がありました。

「待ったなし」の課題

地球規模の「格差」や貧困の問題について取り組んでいらっしゃる上村先生。地球温暖化や栄養失調で亡くなる子どもの問題などが、「待ったなし」の現状になっていることから講演は始まりました。続いて、先生ご自身が、最初に世界が抱える問題について関心をもつにいたったきっかけと、その問題解決のために国連で働かれていた当時のことをお話しくださいました。その中で話された、先生が国連職員として実際にパキスタンで働いていたときのエピソードは生徒にとっても驚きを伴うものでした。

「目の前の果物」が食べられない現実

あるとき、先生は現地の方に今は砂漠のようになっている場所に案内してもらい、そこが「以前はオアシスだった」と聞いて驚きます。その一方で、壁で仕切られた向こうにはうっそうと緑が茂り、数多くの果実がなっていました。それを見た先生が、「あれは、何ですか?」と訊いたところ、「果樹園です」という答えが返ってきたそうです。「ああ、ここの人はあれを食べているのか……」と呟いたときに、「いいえ、あれは輸出用です。あの果樹を育てるために、ここからも水を引き、こちら側は干上がってしまったのです」と聞いて驚く先生。そしてその驚きは、その「輸出先」が日本だったことで、さらに大きなものになったそうです。こうした経験から、国連職員として現地で働くことはもちろん大切だと考えながらも、問題の「根本」を解決することがより大切だと先生は考えるに至ります。こうした経緯を経て、先生は教育と研究の分野で頑張る決意を固めます。こうした経験の中で、「夢は努力をしていれば、必ずかなう。そして、その夢が変わることは、十分ありえることで、けっして悪いことではない」というメッセージも下さいました。こうした一つひとつの言葉が、生徒の心に残るお話でした。

新しい可能性

その後、講演は現在の先生の研究課題についてのお話に移りました。現在、世界の大きく騒がせている「パナマ文書」とタックスヘイブンについてのお話(この問題については、マスメディアから解説の要請が続き、たいへんご多忙だそうです)や、そもそも「税」はなぜ存在するのかその意味についても話してくださいました。そして地球的な格差や貧困の問題を解決する手段としての「グローバルタックス」の可能性のお話では、生徒は新しい視点を手に入れたようにも感じます。

生徒たちにとって世界に大きく目を向けるきっかけとなった、あっという間の80分でした。

 

生徒の感想より

希望は「情報を活用する」こと

日本の、いや地球の未来はあるのか。環境問題、軍事対立、不透明な金融問題などの現在私たちを取り巻くさまざまな課題に対して絶望的になるのか、はたまた希望を持ち、夢を抱くのかの差が、世界の今後も左右するに違いない。人間はここまで文明を築き上げてきたが、それと引き換えに大きな代償を負ってしまった。その発展とは裏腹に、貧富の差が拡大しているという現状に私は何ができるだろうと考えた。しかし、どうも私にできることはないのでは、と消極的に考えてしまう。なぜなら、その格差が起こっている原因として考えられる一部の富裕層による巨大マネーの移動、この構造そのものが一般庶民である私たちの手には到底及ばないと思うからである。実際、ニュースでパナマ文書の存在を知ったとき、雲の上の人たちの間の、私には関係のないお金の話だと思った。一方でそのお金に対して希望を見出すこともできるに違いない。とある国では首相が辞任したり、そもそも発表のされ方が“機密文書”とやらで、一見黒いお金のように思えるが、私は100%汚いお金だとは思わない。たしかにペーパーカンパニーを作って、節税して、まじめに働き、源泉徴収されている多くの人からしたら文句を言われても仕方のないことだ。でも、そうやって成功してきた人たちだとしたら、それを完全に否定するわけにはいかない。だから、今後の世界に少しでも希望をもつとすれば、パナマ文書によって明らかになった情報を活用するしかないと思うのである。そもそもお金は物品交換を公平に行うための道具であったはずだが、経済が高度化し、あらゆるものが“商品”の対象となった今、お金のあり方、社会の根本を改革するべきだと考えずにはいられない。達成されるのに時間がかかるように思われても、踏みとどまっているとするならば、今行動に移すべきだ。世界文化の共通化ではなく、幸せの共通化という意味でのグローバル化社会に私も貢献していきたい。(O・A)

 

知ろうとすること、「なぜ」を問うこと

 今日、上村先生から「森林は3秒ごとにどれくらい伐採されるのか」「飢餓で苦しむ子どもは、何秒間でどのくらい死んでいくのか」などといった質問を投げかけられて、答えにつまった自分に気づきました。たしかに森林と飢餓の問題も世界にとっては今すぐ解決しなくてはならない問題ではあると思うけれど、私にとっては自分の身に迫っているようなことでもないし、心配はするけれど、自分に深く関わるようなことではないから、遠まきに眺めるだけ、といった考えを持っていたのだと思います。今日、問いを投げかけられ、これは例えばなしではなく、今実際に起きていて、そのままブレーキがかけられない状態のまま、進みつづけている状況なんだと実感しました。福島の件でも、かわいそうだな、とは思うけれど、放射能はここまでは来ないだろう、という根拠のない安心があったのだと思いました。けれどチェルノブイリの件を例に出され、無関係どころか、放射線量がチェルノブイリ並みなら、とっくに自分に影響があっておかしくない状況だったのだと気づき、恐ろしくなりました。

 このように今日学んだことは、「気づけず、知ろうとしない怖さ」だと思います。飢餓であの子たちはかわいそうだ、と思っている私たちの今の生活は、その飢餓で苦しんでいる人たちの犠牲の上に成り立っていると知りました。上村先生の言うとおり、「なぜ」こんな状態になってしまっているのかと原因を見つけることはとても大事だし、それをしないで表面だけを見ることは無意味なんだと思いました。

 いろいろな方向から物事を見る視点を教えてもらい、本当に今日の講演会は自分のためになりました。日頃のニュース等も、その裏にあるものを感じ取れている視点が養えるといいなと思いました。(T・A)