《中学3年》 朴慶南さん講演会
6月30日の国際の時間、エッセイストでラジオパーソナリティーをしている朴慶南さんに講演をしていただきました。溢れるように楽しいお話をして下さる姿に元気をいただきながら沢山の大切なメッセージを受け取る時間になりました。
朴さんは痛みを抱えている方の傍に寄り添ってきた友人のお話をして下さいました。暴力という形でしか自分の苦しさを表せなかった人が、誰かに受け止めてもらったことで変わっていくというエピソードです。目の前にその情景が浮かぶようなお話に、生徒は身を乗り出して聴き入っていました。
朴さんは社会で「弱者」と言われる方たちの思いを代弁するお話をして下さいました。障害を持っていても姉の結婚式に浴衣を縫い上げてお祝いをした人のお話を聞きながら、同じ人間なのに人と人を隔てているものがある悲しさを思いました。そして、その状況を変えていくには何が必要なのかを考えました。
関東大震災の直後に朝鮮人が井戸に毒を入れたというデマが流れ、沢山の朝鮮人が殺されたことがあると生徒たちは学んでいました。朴さんは大川常吉さんが井戸の水を飲んで見せたというエピソードを紹介してくださいました。人として大切にすべきことは何か、想像力と判断力について考える時間になりました。
講演の途中で朴さんはチマチョゴリを着て見せてくださいました。鮮やかな色合いと形の美しさに、生徒はとても感動していました。身近な国である韓国のことをもっと知りたいと思えた生徒たちです。
生徒の感想より
私は朝鮮や朝鮮の方と関わることがあまりなくて、朝鮮人のイメージはないけれど、国のイメージだとニュースから知ることがほとんどなので、あまり良いイメージはなく、日本が嫌いなのかなという印象でした。 でも、朴さんの話を聞いて、日本が関東大震災の時にとてもひどいデマを流し、虐殺していたことがあったと聞いて、納得しました。私も逆の立場だったら、あまり良いイメージを持たないと思ったからです。最初は理由もわからず、ただ嫌っているだけだと思っていて、だったら勝手に嫌っていてよくわからないという感じだったけど、その話を聞いて悲しくなりました。 でも怖い経験をしたにもかかわらず、こうやって講演会を聞いてたくさんの話を聞けて良かったです。たくさんの面白い話を混ぜて、私のあり方や私でいいのだということなど、すごく深い話を聞く貴重な時間になって、心が軽くなりました。人はすぐ比べてしまって、優越感や劣等感を感じてしまうけれど、比べる必要はないんだ、比べることができないという言葉にすごく感動しました。 |
今回の朴慶南さんのお話を聞いて、「直線」で分けられている社会の実態を私はよく知らないのだなと痛感しました。朴さんが話してくださった障害を持っているキイちゃんが、自力で着物を作ってお姉さんにプレゼントしたという話には驚き、キイちゃんの努力に感心しました。結婚式の会場に行ったとき、周りの人々は障害者であるキイちゃんを、邪魔者を見る目で見ていて、どうして同じ人間で同じ地に立っているのに、そこまで軽蔑するのでしょうか。関東大震災の時の朝鮮人を大量に殺した事件もそうです。震災が起きて、みんなパニックに陥っているとはいえ、ちょっとしたデマで震災前まで共に生活していた朝鮮人の人たちを「朝鮮人だから」といった安易な理由で殺してしまったのでしょうか。お話にあったように、井戸の水に毒を入れたというならば、その水を飲んでみて毒が入っていないことを証明すればいいというような冷静に判断する力が当時の多くの人々は、度重なるハプニングで失ってしまったのでしょうか。色々な点で社会の中で人は分けられていると朴さんは仰っていましたが、私もまったくその通りだと思いました。差別などが原因で自らの命を絶ってしまう人もいる中、私たちはその人の分まで生きたいです。 |