《文化祭》 9月23日 片付け・閉会式
9月23日は、文化祭の片づけと閉会式が行われました。
閉会式では、校長先生から、最初に、芸術関係の金賞受賞者表彰がありました。続いて、賞選考委員会によって選ばれた、展示部門・公演部門の各々の金賞・銀賞の受賞団体の発表と、表彰がありました。
賞選考委員会を代表して、及川教頭先生から「講評」がありました。
2019年度 文化祭講評
2019.9.23.(月) 神奈川学園中学・高等学校
先週の中ごろには、接近する台風の影響や大雨の予報も出されるなど、心配された今年の文化祭でしたが、終わってみれば大きな天候の崩れもなく、恵まれた環境で開催することができました。お迎えしたお客様は2日間でおよそ6,300人、近年の平均を上回る来場者になりました。大きな混乱もなく、来校してくださったお客様にとって楽しく、温かな思いが残った文化祭になったと感じています。文化祭を運営して下さった実行委員会のみなさんのご苦労に感謝したいと思います。
今年を振り返ってみると、全体として落ち着いた雰囲気の中でお客様をお迎えすることができた文化祭でした。昨日開かれた賞選考委員会で、最初の文化祭全体の「評価」として話題になったのが、この点でした。この「落ち着いた雰囲気」に大きく関係していたのはみなさんのお客様を心からお迎えしようとしていた気持ちと姿勢だったと感じています。展示教室で、お客様に学んできたことを自分の言葉で丁寧に説明しようとする気持ち。大食堂や喫茶室で、お客様にくつろいでいただこうと、丁寧に接客をする姿勢。公演では日頃の活動で鍛え上げた技量を表現することで、お客様に心から楽しんでいただこうとする姿勢がありました。こうした一つひとつの場面が積み重なって、文化祭全体の落ち着いた、温かい雰囲気につながっていたのだと思います。実際に来校されたお客様からも、「見学をしていたらとても自然に『説明しましょうか』と声をかけていただき、嬉しかった」「生徒さんが明るく挨拶をしてくれて、気持ちが良かった」といった声を数多くいただきました。
そして、次に評価されたのが、多様な発表方法です。今年の展示各団体の発表・表現方法は、大目標“Repainting”にふさわしく、これまでの伝統をふまえながらより新しい試みが数多く見られました。
映像や実物、精巧な模型などを多くの団体が用いて発表をしていました。多くの団体で製作された映像は洗練されたものも多く、そのセンスの良さには私たち教員が驚かされる場面が少なくありませんでした。また、お客様が参加したり、体験できたりする企画が例年以上に多く、多様だったことや、文字をできるだけ使わない発表方法など、さまざまに工夫された発表・表現方法が見られました。今年の表現方法の工夫は、今後の新しい一歩となる、そんな年だったのではないかと感じています。
学年ごとでは、初めての展示発表だった中学2年生の取り組みが最初に話題になりました。どの展示室もとても丁寧に作りこまれ、お客様に適切に声をかけ、自分の言葉で一生懸命に調べたこと、体験を伝えようとする姿勢には初々しさがあるものの、展示教室での参加が初めてとは思えない「自信」のようなものもまた、感じました。それはこれまで時間をかけて各団体が取り組んできた積み重ねの結果なのだと感じています。
j高校1年生の展示は、最新技術に関わるテーマや新しいツールを使った試みもあり、展示室全体が一つのストーリーとなってまとまりのある、高校生らしい質の高い発表になっていました。高校2年生の展示は、お客様が体験・参加できることへの追求や、新しい表現方法への挑戦などが見られました。新しい可能性を追求するその姿勢に、上級生としての力を感じました。高校2年生は、昨年から今年にかけて、今後の高校2年生の参加の在り方にも関わる長い話し合いを重ねてきてくれました。その中で選び取った参加形態、そしてクラブ活動等でも責任を負う立場などの忙しさの中で、見事に中心学年としての責任を果たし、文化祭全体の質を支える原動力となってくれました。また、これは高校1・2年生に共通して言えることですが、発表する説明を相手の反応や質問に対して臨機応変に対応できている人も多く、高いプレゼン能力を感じさせてくれました。
中学3年生のみなさんは、喫茶に取り組み、学校全体の「食」を支えてくれました。各喫茶でテーマ性のある装飾や机の配置の工夫などがあり、どの教室もほんとうに丁寧に作りこまれた装飾が見事でした。各教室とも、個性ある中にも、お客様がゆったりとくつろぐことのできる空間が見事に作られていました。接客も、混雑したときでも慌てることなく、お客様一人ひとりに丁寧に向き合う、落ち着いたものでした。また「食」の分野では、中学1年生が、大食堂に取り組みました。「雨上がりの空に」と題された今年の大食堂は、美しい雨粒を始め、緑の樹木や虹をイメージさせる装飾、一人ひとりの手による詩が掲載されたしゃれたテーブル装飾などが施され、居心地のいい空間になっていました。中学1年生が少し緊張しながらも、お客様に心遣いをする姿がありました。高校3年生に支えられて頑張っている様子は、お客様の心もきっと温かくしたことと思います。
受賞団体
≪展示部門≫
金賞
中2D 中2Dの番です~コンビニ反撃編~
高1B いないいないばぁっ!
銀賞
中2A 俺のしっぽどこいった?by恐竜
中2E ピタゴラを止めるな!
高2C コーヒーが冷めないうちに
高2D Art Lab☆
このほか、選考委員会で話題になったのは、生物部です。沢渡公園に関して、堅実で地道な研究を長年積み重ねており、今年は大きな節目となるような発表となっていました。足下を見つめる着実な研究姿勢と、その成果が高く評価されました。
≪公演部門≫
今年も各団体が質の高い公演を実現させました。どの部活動も日ごろ重ねた活動の充実ぶりとその成果を感じさせる見事な完成度でした。中心学年として日々の部活動をまとめあげた高校2年生の部活に向かう真摯な姿勢と、各部活のみなさんの日々の努力に心からの敬意を表します。
その点に関連して、もう一つ話題になったのは中学生のがんばりです。従来であれば高校生の陰に隠れることも多かった中学生ですが、今年は公演で十分な力を発揮する場面が多かったように感じます。これも中学生のみなさんの努力と、同時にその中学生といっしょに活動し、指導してまとめあげた高校生の努力が相まっての結果であると感じています。
金賞
新体操部 LOOK BACK
ダンス部 TIME TRAVEL~memories~
銀賞
コーラス部 ミュージカル『アラジン』
この他に、公演部門で今年度特筆すべき団体として話題にあがったのは、中学演劇部とESSでした。
中学演劇部は、オリジナル脚本を少数の人物で展開しましたが、観客をひきつけつづけたクオリティの高さがありました。お化けという非現実の世界を扱いながら、少子高齢化などの社会問題、自立や自己の存在意義を問う繊細な心の動きや、別れと出会いを見事に表現しきっていました。
ESSは「チャーリーとチョコレート工場」という映画でもなかなか表現が難しかった作品を見事に舞台上で演じ切りました。場面展開もスムーズで、英語を通しながら一人ひとりの人物像と心情が伝わってくる、完成度の高い舞台でした。
文化祭を支えてくれた文化祭実行委員のみなさん、
高校3年生のみなさん、ありがとうございました。
冒頭でも述べましたが、今年は天候も心配される中でしたが、着実に準備を重ねたことが当日の成功につながった文化祭だったと感じています。
文化祭実行委員会のみなさんは4月からこの2日間のために、長い時間をかけてほんとうによく準備を重ねてきてくれました。そのことが、とても落ち着いた、温かい雰囲気の文化祭を実現につながったのだと思います。昨日の後夜祭も含め、令和最初の文化祭はとても素敵な文化祭になったと思います。
そして高3のみなさん。机椅子移動などの準備、今日の片づけはもちろん、文化祭当日は大食堂での中1のフォローを始め、さまざまな役割で下級生、そして学校全体をたくさん支えてくださいました。表に出る「神奈川学園の顔」としての仕事もあれば、裏方の「縁の下の力持ち」的な仕事もありました。そのいずれにも、最上級生として責任をもった働きをしてくださり、感謝しています。ありがとうございました。