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2020年11月24日 (火)

高1FW 岩手宮城方面 「震災遺構は保存すべきかどうか?」

 高1フィールドワークでは方面別の学習が進んでいます。岩手・宮城方面の11月19日の様子をお伝えします。

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 授業は、先週から「震災遺構」について学び、今も現地に取り壊さずに保存されている一本松や多くの建物があること、それに対して現地で被災された方々の色々な思いがあることを学びました。そこで、それらの「震災遺構」を解体するのか保存するのかについて、今回は私たちの学校が被災したと想定して、一人ひとりが考えて意見を出しました。

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意見を集約すると「解体する」と「保存する」が約3対1に。次はその理由です。(以下抜粋)

▶Aさん「解体する」

後世の人に震災のことを教えるためには震災遺構を残すことは必要だと思うが、今生きている心に大きな傷を負った被災者たちが、毎日自分の家族を亡くした場所を見るのはとてもつらいことだと思ったので、震災遺構は残さないほうがいいと思いました。今生きている人々が震災遺構を残すことによって毎日つらい思いをするなら残さないほうがいいと思う。

震災後に生まれてきた人たちには、携帯電話などで沢山の写真や動画などが残っているから震災遺構を残さなくても伝える手段はたくさんあると思ったから。

▶Bさん「保存する」

学校という日常の中で震災により無残な姿になってしまうことは辛いことだけれど、亡くなった犠牲者もこの学校という場所で過ごしていて最後を全うした証を残すべきと思いました。また次世代に経験を繋ぐという意味では、写真や映像だけでは他人事に捉えてしまう面もあると思うし実際に自分の足でその場を訪れて体験することに意味があると思ったからです。


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そして今週、両意見を持つ人がそれぞれいるグループに分かれてディベートをしました。

・学校や地域の将来をどうするのか?次世代への教訓という視点では?

・そこで暮らす地域住民や卒業生の気持ちは?

・復興という視点で、街づくりにどう活かすか?

・維持費はどうするのか?

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グループで話し合って出した結論をみんなで共有しました。5グループ中ほとんどが「解体」という結論になりましたが、時間内に決められずに「保留」となった班も出ました。発表で出た意見や理由を一部抜粋します。

▶保存・解体両者の思いやそこにいる遺族の思いを尊重しながら維持費をかけない方法にしたい。▶保存すると町全体の景観が崩れてしまったり被災された方の気持ちも癒えないのではないか。▶遺構を博物館(資料館)化して残しながら入場料や募金、クラウドファンディングなどで維持費を集めてはどうか。▶被災者の方の気持ちや維持費を考えて解体したい。しかし、後世が学ぶために別のかたちで残したい。▶広島の原爆ドームは、私たち人間が二度と同じ過ちを起こさないために残したいが、災害は別の方法で後世に伝えながら維持費を復興に使った方がよい。▶記念碑を建てて後世に残したい。実際の建物を見ることもなく残すこともでき、維持費を抑えることもできるのではないか。▶住民や遺族の方々の意見を尊重して解体する。▶意見がまとまりませんでした。震災から10年が経ち、さらに10年経ったら住民や遺族の方々の気持ちも変わるのではないか...。

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「震災遺構の意義」や「震災遺構にどれだけインパクトが残せるかどうか」が問われるも、年をかさねて気持ちや生活が変化する方々も当然いる中でその気持ちにどう寄り添えるかを考えさせられるものでした。私たちは、少し遠い気持ちになりがちですが、どれだけ当事者の気持ちを考えられるかがこれから先も大切になると思える授業でした。

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▶Cさんの感想「授業を終えて」

私は解体すべきだと思います。話し合えば話し合うだけ色々な考えが生まれて揺れてしまいますが、今の時点では班のみんなでの意見と同じです。原爆ドームのように残すことで後世が学べたり、大切な人を思い出せる場所を残すという利点ではありますが、これからの未来、もっと大きな地震や頻繁に自然災害は起きてしまうのではと考えると、その維持費を災害や復興に充てるのがその町の発展にとって良いと思ったからです。でも、正直、現地に行ったらこんな風に結論は簡単に出せないと思うし、今たどり着いたはずの結論はまた一に戻ってしまう気がします。

講義で聞いた「維持費がかかる」「見ると悲しくなる人がいる」ということにばかり注目していました。しかし、講義での知識だけでなく原爆ドームの保存を参考にしている子の意見を聞いて、私ももっと視野を広げて、自分が知っている知識をフルに使って考えるべきだと感じました。はじめてディベートをしたから進行するのは不安だったけれど、みんなの多様な意見を共有できてよかったです。これを行う前は、10年もたっているのにまだ決まっていないのか...と思っていたけれど、話し合って気持ちがゴチャゴチャになってなかなか決断できない状況を体験して、無責任だったなと感じました。