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2021年11月26日 (金)

高2FW  四万十川方面:自然環境と過疎化を考える四日間

高校2年生は、昨年度1年間かけて学習した国内フィールドワークに出かけました。11月8日から11日までの4日間で、一人ひとりが学びを深め、現代社会の諸問題に向き合いました。今回は「自然との共生とは何か」「自然環境はどのようになっているのか」「地方の過疎化の実態を知り、考える」をテーマとする四万十川方面の4日間をお届けします。

 

1日目:四万十川中流域(林業・地域活性化について学ぶ)

 

羽田空港に集合し、空路、高知龍馬空港へ。ひさしぶりの仲間との旅とあって、とても楽しそうに出発しました。空港からはバスに乗り換え、四万十川財団の神田さんから、高知県とはどのようなところか、四万十川はどのような川なのかということについて、私たちが住んでいる横浜と比較しながら、自然環境や過疎化についてのお話を伺いました。神田さん自身も、地元の方のあたたかさに感激して、Iターンで四万十に移住された方で、生徒たちもお話を興味深く聞いていました。車窓は市街地から徐々に、田んぼや川を中心とした、のどかな風景に変わっていきました。

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昼は、道の駅「あぐり窪川」で、地元名産の四万十ポークと仁井田米を使った米豚丼をいただきました。今回の研修の一つの目的は「地元をどのように活性化していくか」というところにあります。それだけに、地元でとれたものを頂く、というところも学習の一貫です。

午後は、大正町集成材工場に行き、間伐材などを利用した板や家具の製作工程を見学しました。高知県は面積の約8割を森林が占めており、元々林業が盛んな地域です。四万十川も、古くは山で伐採された木を運ぶ水路として活用されていました。しかし、外国産の安い木材が輸入されるようになると、国内産の木材の需要が減りました。今はコロナの影響で外国材の輸入量が減ったため、国産の木材の価格は上昇しているようですが、林業に携わる人が減ると、山では適切な木の手入れが行われなくなり、従来の保水力を保てなくなり、土砂災害や水害の原因となったり、漁業にも影響を与えることが知られています。生徒たちも森林組合の方々のお話を熱心に聞き入っていました。残念ながら大雨警報が出るほどの土砂降りで、山の散策はできませんでしたが、代わりに実施した木のペンダントづくりは、大変盛り上がりました。

 夕方は、道の駅「よって西土佐」に寄り、地元で作られた野菜や加工品などのおみやげを買いました。夜は宿舎である四万十楽舎で、道の駅の駅長である林さんと、昔からFWでお世話になっている平野さんにお話を伺いました。林さんの「地元の人に生きがいと喜びを感じてもらうことが、街を活性化させるためには大事なこと。そのためにも、遊びに来た人に地元の人が作ったものを買ってもらい、「自分の作ったものが売れた」という喜びを感じてもらうことが必要」という話が、生徒たちの中には響いたようでした。最後は、平野さんの四万十川を歌った歌で、心穏やかに一日が終わりました。

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2日目:四万十川中流域~河口(生物多様性と自然環境を学ぶ)

 

2日目は打って変わっての晴天でした。午前中は四万十川の中でも最も有名な佐田の沈下橋の近くで、四万十学遊館の杉村さんの指導のもと、生き物採集を行いました。ちょうど前日山に降った雨が流れてきて、みるみるうちに水位が上がってきました。以前は雨が降ってからこのあたりの水位が上がるまでに半日以上はかかったようですが、山の保水力低下もあって、現在は4時間ほどで水位が上がってしまうそうです。また、逆に先週までは雨が全然降らなかったということで、残念ながら採取できた生物はさほど多くはありませんでした。それでも、エビやカニのほか、オイカワやウグイなどの魚がとれ、生徒たちは大喜びでした。(この様子は、翌日の朝日新聞高知版に掲載されました)

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昼は、増水で実施できるかどうか心配もありましたが、ちょうどよいタイミングで屋形船に乗ることができ、四万十川の水面を眺めながら、四万十川でとれた鰻、テナガエビ、あおさのり、ゴリなどの入ったお弁当をいただきました。船頭の荒地さんからは、川漁師の暮らしや四万十川で暮らす人々のお話などをたくさん伺うことができ、生徒からもたくさんの質問があがっていました。

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午後は四万十学遊館に移動し、生き物探しゲーム、放棄水田の見学、館内生き物クイズのあと、杉村さんによるトンボから見える自然環境のお話を伺いました。生き物探しゲームや館内クイズでは、みんな競って楽しそうに生き物を探す姿が見られました。杉村さんのお話では、「今の環境問題で”地球”が危ないのではなく、”人類”が危ないのだ」という言葉が印象に残った生徒が多かったようです。自分たちが今後生き延びていくためにできることを考え、行動していかなければいけない、それを突きつけられるようなお話でした。

夜は宿舎の四万十の宿に移動し、砂浜美術館の村上さんのお話を伺いました。砂浜美術館と言っても、美術館の建物があるわけではありません。黒潮町の大方地区に広がっている砂浜、そのものが24時間365日姿を変えながら様々な展示物を私達に見せてくれる美術館なのだというコンセプトに、生徒たちも驚いていました。また、砂浜に流れてきた多数の漂流物には、興味深く見入っていました。「見方を変えると、ゴミも展示品になる」「”何もない”がある」といった言葉に、心が動かされているようでした。

また、寝る前に星空観察会を行いました。横浜では見ることができない満天の星空と、流れ星に終始大興奮の生徒たちでした。

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3日目:黒潮町(漁業と人の生活を学ぶ)

 

朝は杉村さんのご指導のもと、四万十川の支流である津蔵渕川の上流での生物採集を行いました。非常にきれいな水質の川であり、「生きた化石」と呼ばれるムカシトンボのヤゴも棲んでいます。生徒の中にも、捕まえることができた生徒がおり、とても喜んでいました。生物採集も2日目になると慣れてきて、ベテランかのようにどんどん先へ進んでいくような生徒も出てきて、頼もしささえ覚えました。

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その後は黒潮町大方地区に移動し、まずは昨日お話をうかがった砂浜美術館を訪れました。短い時間でしたが、一面に広がる砂浜と、押し寄せてくる波、海岸に打ち上げられている様々な物に想いを寄せていました。

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さらに黒潮町佐賀地区に移動し、まずは防災タワーの見学をしました。黒潮町は南海地震が起きた際に34mの津波が予想されているため、山から遠い地区に住んでいる人が一次避難するための防災タワーがあります。タワー内には、1日分の食料や簡易トイレなどが備え付けられていました。「最後まで諦めない」をモットーに、定期的に避難訓練が行われているそうです。

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お昼は黒潮一番館でのカツオのタタキづくり体験をしました。元漁師さんの一本釣りのお話を伺ったあと、実際にカツオ丸々1本をさばき、藁焼きであぶったカツオのたたきをみんなで食べました。新鮮なカツオはとても美味しく、あっという間にお皿が空になっているテーブルもありました。

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午後はソルトビーという天日塩をつくっている作業所で、塩づくり体験をしました。海水から火を一切使うことなく、時間をかけて作られる様子を体験して、生徒たちも驚いていました。中でも浴用塩の体験にはとても感動し、お土産に購入する生徒がたくさんいました。今年は一番塩を作りやすい夏場に雨が続き、思うように生産が進んでいないそうです。自然から得られる恵みであるだけに、生産量は安定しませんが、それでも自然とともに暮らしていく方々の姿から、いろいろ学ぶこともあったのではないでしょうか。

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夜は、翌日行われるワークショップの準備として、3日間の体験を振り返る時間を設けました。「まだ3日しか経っていないのに1週間も高知にいる気がする!」という声が上がるほど、充実した時間を過ごすことができた生徒たち。付箋1枚に1つ、現地に来て驚いたことを書くワークでは、付箋が足りなくなっておかわりをする生徒が続出するなど、本当にたくさんの発見があったのだということ改めて気づかされました。

最後は、添乗員として今回のプログラムでお世話になってきた富士国際旅行社の山田さんに、高校時代から現在に至るまで、どのようなことに興味を持ち、進路を切り拓いていったのか、お話を伺いました。実は、山田さんは、神奈川学園の第66回卒業生です。神奈川学園で経験した海外研修やFWなどが、今のお仕事にも繋がっているという話を、生徒たちは興味深く聞いていました。

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4日目:高知市内(植生を学ぶ、4日間のまとめ)

 

午前中は、高知市内にある牧野植物園を訪問しました。牧野植物園の名前の由来ともなっている、日本の植物分類学者のパイオニアでもある牧野富太郎博士は、高知県佐川の出身です。高知県の植物を始め、珍しい植物の観察をしました。すべての植物にネームプレートが振ってあり、面白い名前の植物を見つけると、そのたびに盛り上がっていました。

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午後は、高知大学地域協働学部の森先生による、この4日間を振り返るワークショップでした。生徒たち一人ひとりが感じたことを元にしながら、グループでまとめていく作業を通して、このFW現地研修で学んだことを改めて整理し、最後のプログラムとしてふさわしい、貴重な時間を過ごすことができました。高知大学の学生さんにもお手伝いいただき、交流を深めました。

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高1での事前学習から少し間は開いてしまいましたが、昨年の学びを活かしながら、それぞれが問題意識を深め、今後につなげられる研修になりました。コロナ禍ということで様々な思いもありながらも、あたたかく迎え入れて下さった現地の方々、送り出して下さった保護者の方々、本当にありがとうございました。