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2022年1月24日 (月)

高2FW  水俣方面:人間の尊厳を考える旅

11月8日(1日目)

 早朝に羽田に集合し、空路熊本に到着。バスで水俣に向かい、まずは福田農場での昼食…自分たちでパエリアを作って食べました。雨が降りそうということで、予定を前後入れ換えて、まず茂道へ行き、亡くなった水俣病患者の杉本栄子さんの息子さんで漁師をされている杉本肇さん、実さんに船に乗せていただき、水俣湾を海の側から見させていただきました。船に乗っている間は雨も待っていてくれたようで、風が気持ちよく、横浜の都会の喧騒から離れて自然にふれ、気持ちもリフレッシュすることができました。

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 その後、親水護岸の慰霊碑の前で、吉永利夫さんにお話を伺いました。慰霊碑には実際の患者数よりもずっと少ない名前しか記載されていない理由、埋め立てのこと、その他さまざまなお話を伺い、生徒たちは熱心にお話を伺い、メモを取っていました。親水護岸は埋め立て地で、地面の下には水銀に汚染された魚やヘドロが埋め立てられたままになっています。親水護岸からは、先ほど船でまわった水俣の海を今度は陸側から見ることもできました。その後、最初の患者が出た坪谷、百閒排水溝、旧チッソ工場前、水俣駅なども回りました。

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 宿に着いてからは、昼間船に乗せていただいた杉本肇さんの講演会がありました。杉本家5人兄弟の長男としての子供時代、大人になってからは一度水俣を離れてから水俣に戻った経緯や気持ち、いろいろな側面から話してくださいました。生徒たちも真剣な顔でお話に耳を傾け、メモをとっていました。1回目のFW水俣の時からずっとお世話になっている杉本肇さん。2018年には生徒会講演会でさかなクンと一緒に本校で講演会もして下さいました。コロナ禍の中、今年も私たちのFWに関わってくださり、感謝の気持ちでいっぱいになりました。

 

11月9日(2日目)

 2日目午前は水俣病考証館を訪れました。考証館には水俣病に関する展示物がさまざま展示してあります。前日に見た親水護岸の下に埋められているヘドロ、猫実験をした時の猫小屋、当時のチッソの社内地図や作業員の制服などを見て、これまで文字や話としての情報だった実物を多く見ることができました。その後、案内をしてくださった永野三智さんから更にお話を伺いました。

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 お昼は2チームに分かれて昼食を取りました。道の駅「たけんこ」で水俣ちゃんこなどを味わったグループと、「オルガント」でインスタ映えしそうなパンケーキを味わったグループ、どちらも満腹になりました。

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 午後はお隣の津奈木町にあるつなぎ美術館に行き、ユージン・スミス&アイリーン・スミスの写真展を見ました。2人の水俣での活動を描いた映画『MINAMATA』の上映にともなう特別展で、今年だけしか見られない写真展をみることができました。その後、柳幸典氏のつなぎプロジェクトの一環である、屋外アートを訪れました。岩の間から語り部の声が聞こえるという「石霊の森」、木の枝に仏様を掘るという斬新な発想の「達仏」に少し驚きながら、いちょうの葉の美しい黄色いじゅうたんの上を散策しました。

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 宿に戻って、あさひ荘のおいしい夕食をお腹いっぱい食べた後は、母体から胎児へと水銀が胎盤を通して伝わってしまうことを見つけた医師・板井八重子先生のオンライン講演会でした。質問コーナーで積極的に質問が出ていたのが印象的でした。講演や曲を通して、女性として、医師としての板井先生の思いが生徒たちにしっかり伝わっていました。

 

11月11日(3日目)

 3日目のテーマは「豊かさとは何か」でした。2チームに分かれてのプログラムで、生徒半分が「浮浪雲工房」、もう半分が「天野茶園」を訪れました。

★「浮浪雲工房」

 浮浪雲工房では、金刺潤平さん・宏子さんご夫妻にご指導いただき、まずは、紙漉きを体験しました。潤平さんはまず自己紹介をされながら、バナナ・井草・竹など様々な素材から作ったご自分の名刺を見せてくださり、紙を作ることに興味を持たせてくださいました。紙漉きの仕方は国によって違うこともこの日教えていただいて知りました。一人2枚ずつ紙を漉いて木の板に貼って乾かします。紙漉きは初めての体験で、コツや注意点を最初に教わっていたけれど、なかなかその通りにはできない場面もあり、そのたび歓声や温かい笑い声があがり、失敗もまた楽しい体験となりました。

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 紙漉きの次に、草木染めも体験しました。お二人は工房の周りで素材となる植物も育てていて、それらを摘むところからの体験をさせてくださいました。今回は染色にマリーゴールドを使うということで、昨年宏子さんが摘んでおいたものと、今回私たちが摘んだものを混ぜて、大きな鍋で煮ます。そして、折ったりつまんで紐で結んだりして模様がつくようにした布(今回はエコバッグ)をマリーゴールドの色で黄色くなった鍋に入れます。その後ミョウバンで定着させます。生徒たちはどの作業もわくわくしながら取り組んでいました。そして、本当にきれいな黄色に染まりました。

 庭の木になったミカンをもいでその場で食べたり、アケビを食べたり、昼食には、ご近所の方がさばいたイノシシ肉の入ったジビエカレーをいただいたり、庭で収穫した綿を使っての糸の紡ぎ方を教えていただいたり、初めての体験をたくさん経験しました。おふたりのお人柄もあって、生徒たちは1日中元気に笑って楽しそうにしていたのが印象的でした。

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★「天野茶園」

水俣中心部から約12km、標高500mに位置する石飛地区でお茶作りをしている天野茂さんに出会い、お茶作りや山の散策をしました。

 ゲストハウスの囲炉裏を囲んで天野さんからご自分の事・お茶作りなどのお話を伺いました。お邪魔したゲストハウスは天野さん手作り。窓や扉、材木・トイレまで廃材をもらってきた話にみんなびっくりでした。

 降っていた雨が上がったところで、家の前のお茶畑に。お茶の葉の摘み方を教えていただきながら、ザルいっぱいにお茶の葉を摘みました。その後は雄大な山のお茶畑に行ったり、山の散策をして、木の実をとったり食べてみたり・・・山の豊かさを実感することができました。

 お昼はとれたて野菜や手作りのこんにゃく・イノシシの肉でつくったしし鍋・栗ご飯に天ぷら等々。いっぱいのごちそうをお腹いっぱいいただきました!

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 午後にはお茶作り。とってきたお茶の葉を囲炉裏で水分を飛ばし、香ばしくなるまで炒りました。次はお茶の葉を手でよくもみます。汁が出るくらい、くるくるまくような感じで。「こうやってお茶ができるのかぁ」と感心していました。おやつに手作りのケーキやプリンなどと一緒に自分たちで作ったお茶をいただきました。香ばしくてまろやかなお茶になっていてみんな大満足。最後に壁にいたずら書き? ―神奈川学園のFWで訪問した人たちが壁にサインを残しているー のでまねをし、囲炉裏の炭で全員の名前を残しました。

 携帯が入らなかったり、お店だって無いし、便利なものはないけれど、自然と共存している生活は初めてのことばかりでした。驚きと共に「豊かさ」を実感しながら天野さんとお別れしました。

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★柏木敏治さんコンサート

 「浮浪雲工房」「天野茶園」から戻り、最後の晩は、湯ノ児温泉の海辺に立つ『海と夕やけ』というホテルに宿泊でした。夕方ホテルに着いてから、まず、柏木敏治さんのコンサートがありました。ホテルの名前の通り、夕陽が海に沈んでいく様子を背に柏木さんが水俣を歌った曲をいくつも聴きました。

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11月14日(4日目)

 最終日は、後ろ髪をひかれつつ、水俣をあとにし、熊本市へと向かいました。熊本では、熊本城と水前寺公園を訪れました。

★熊本城

 熊本城は約400年前に加藤清正が当時の最先端の技術で建てた名城です。明治時代には西南戦争で50日間にも及ぶ籠城戦の舞台となり、天守・本丸御殿を焼失しましたが、宇土櫓など、築城当時の建物も残っていて、驚きました。お堀や武者返しなど、敵の入城を阻む様々な工夫やイチョウの木が植えてある理由など、ガイドの方からわかりやすく説明していただきました。2016年の熊本地震で被災し、石垣の崩壊など、多大な被害を受け、現在もまだ修復中である様子がうかがえましたが、お城の中はすっかり修復され、立派で近代的なミュージアムになっていて、熊本城の歴史を詳しく学ぶことができるようになっていました。見学時間が足りないくらいでした。

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★水前寺成趣園(水前寺公園)

 出発直前に阿蘇山が噴火したため、旅程を変更して、水前寺公園を訪問することになりました。あいにくの雨模様でしたが、広い公園の中を鳩に餌をやったり(餌を持っている生徒が鳩に追いかけられるくらい)、阿蘇の伏流水が湧き出る池や築山、松などを優雅に眺めたりしながら、のんびりと散策しました。

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 3泊4日の旅はあっという間に終わり、悪天候ながらも、皆元気に予定をすべてこなすことができ、空路帰途に就きました。4日間の旅を通して、友達との距離も縮まり、1年越しでたどり着くことが出来た場所で、大切な出会いと思い出をたくさん作って、輝く笑顔で帰って行きました。私たちの旅に関わってくださったみなさん、ありがとうございました。

*神奈川学園ではオミクロン株感染拡大の状況から判断し、1月24日からオンライン学習に切り替えました。ブログ記事では、これまでの行事や授業などの紹介を継続する予定です。