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2018年12月28日 (金)

2018年度2学期 終業式

 12月22日に、100周年記念ホールで終業式が行われました。終業式では、教頭先生からお話がありました。

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 今日で2学期が終わります。

 来年は「平成」という元号が新しい元号に変わる、という意味では社会的に一つの節目と言える「2学期」かもしれません。また、みなさんが今受けている「教育」という側面だけを見ても大きく変わりつつある大学入試やその制度など、大きな節目にさしかかろうとしています。

 このように大きく変わっていく時代にあって、必要なのはどのようなことでしょうか。

 

 そのことを考えるうえで、一冊の本をご紹介しようと思います。

 『「ふつうのおんなの子」のちから』という本です。生命科学者の中村桂子さんという人が書いた本です。

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 「ふつうのおんなの子」って、何だろう?

 中村さんは、まず「ふつう」についてこんなふうに言います。

「『ふつう』も面倒な言葉です。変わり者はいけないのですかとか、障害者を排除することになりませんかとか、次々に問いただされそうです。そんなことではありません。ひとりひとりがあるがままを楽しむ、その生きかたを『ふつう』と考えるので、誰にでもふつうがあるのです。やたらに権力を求めたり、過剰な競争をしたり、差別意識が強かったり……そんなことなしに家族や友人や地域の人々など、日常接する人との毎日を大切にする生きかたです。そもそも生きものには、これが標準という規格はありません。どこを探しても、この人が人間の基準という人はいません。逆に考えると、ひとりひとりが人間の代表と言ってもよいわけです。

 これはとても大事なことです。私たちは機械に慣れているために、つい何にでも基準があり、そこからはずれたものは価値がないと考えがちです。自動車はどのお店で買ってもみんな同じ。しかも、それは設計図どおりの完璧で正常なものでなければなりません。

 でも、生きものは違います。ひとつひとつ、みんな違うものです。」

つまり人間の「ふつう」は「ぜんぶ違う」ということです。そう考えると、面白い定義ですね。

この後、筆者は、DNAについて触れます。私たちの細胞の中にあるDNAには、塩基と呼ばれる小さな分子が三十二億個も並んでいること、その三十二億個の分子の中には必ず「間違い」が含まれていること、つまりは私たちが存在するということはどこかにうまくいかないDNAを抱えているわけで、その意味では程度の大小はあれ、必ず人は障害を抱えていること、だから実は「正常」と「障害」という明確な区別があるわけではないということ、私たちは誰もが明日交通事故で大けがを負う可能性があるわけで、それをカバーしあうのは人間全体、社会全体であること。これらは、人間を「生きもの」として見ていくとおのずと生まれてくる見方であること……筆者はこういう見かたで生きることを「ふつう」と言っています。

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もう一つ、「おんなの子」も不思議と言えば不思議です。なぜ「男の子」でも「女の人」でもないのだろう? 

これはまあ、言ってみればレトリックなのですが、社会では大人になればなるほど「男らしく」とか「女らしく」とか「社会人らしく」とかいう規制が増えていきがちです。そして、社会からは「富」とか「名誉」とか「権力」とかが価値であるように言われます。

そういえば先日、2018年の「ジェンダーギャップ指数」が発表になりました。2017年、日本が何位だったか覚えていますか? 144か国中114位でした。今年は、少し順位が上がりました。149か国中、110位。……まあほとんど変わらなかったというほうが正しいのでしょうが、日本はまだまだ国際的にみると社会における男女平等が進んでいない、ということなのだと思います。そして、この「男性的な価値観」で運営されている社会に対して、そういう価値観から自由で、自分らしく生きている人の象徴として筆者は「おんなの子」という言葉を使っています。ですから、自分らしく生きていれば、「男の子」であっても、大人であっても「おんなの子」だと筆者は言います。

要するに社会の既成の価値観にとらわれずに、自分なりの考えを持ち、本質を見極めながら生きている人を、筆者は「ふつうのおんなの子」と呼んでいるわけです。

で、筆者はその「ふつうのおんなの子」の生き方の典型をさまざまな文学、中でも児童文学の中に、見出していきます。『赤毛のアン』や『あしながおじさん』『ハイジ』『モモ』果ては『堤中納言物語』まで紹介していくのですが、・・・・・・読書、とくに良い本を読むということは、いつの時代にも新たな発見があるものですね。

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ところで、「ふつうのおんなの子」という言い方で紹介しましたが、「ふつうのおんなの子」が「自分らしく、本質を見極めながら生きている人」とするならば、みなさんはこの2学期こうした人たちにたくさん出会ってきているはずです。

全校でお会いしたのは、図書委員講演会で来校してくださったお二人とも性別では「男性」ですが、先ほどの定義で言えば「ふつうのおんなの子」の生き方をしている人たちです。……「標準的」とは決して言えないでしょうが、自分の興味のあることをとことん突き詰める生き方そのものを、むしろ社会の方が認めた、というのが正しいのかもしれません。

お二人だけでなく、文化祭や秋に行われた各学年の行事の中でもみなさんは社会のさまざまな方にお会いをしました。その中でみなさんが「素敵な生き方だな」と思った方が、何人もいらっしゃったのではないでしょうか。それこそが社会の中の狭い「こうあるべき」という価値観にがんじがらめにならずに、自分が大切にしたいことを守りながら生きている方々――大人になっても、この本の言葉で言う「ふつうのおんなの子」であり続ける人なのではないかと思います。

そして、現代のように大きく時代が変化していく中にあって大切なのは、周囲の声に必要以上に左右されることなく、「自分らしく、本質を見極めながら生きていくこと」なのではないかと感じます。

 

さいごに、もう一度中村さんの言葉を紹介しましょう。

「拡大・成長を続けてきた人間の活動が、地球という有限の星では支えきれないほど大きくなったために、いわゆる地球環境問題が起きているのですが、社会の中心にいる人々は、それらは技術の力で解決すればよいと考え、ますますの経済成長によって富と権力を増大させようとしています。

このような社会からはずれる人は弱者と呼ばれ、病人・障害者・子ども・老人などが該当します。女性もそこに入っています。……子供でなかった人は、ひとりもいません。一生の間、一度も病気にかからない人もいないでしょう。今日、なにかの事故で障害を負わないとも限りません。老人も、年を重ねれば誰もがなるもので、そのために体に故障が出てくるのは避けられません。こう考えると、これらはすべての人の状態であり、強者と弱者、健常者と病人や障害者というように区別するものではないわけです。ましてや差別など、ありえません。……このことに気づいたのは、1964年の東京オリンピックの後、高度経済成長を求めて働き盛りの男性を中心とする社会となり、子どもはよい会社に入って大いに働くために、よい学校へ入ることを目的として勉強する存在になったときです。子どもは子どもとして生きることが大切なのに。そこでは働き終えた人も大切にされません。一生を大切にしたい。……年齢や性別にかかわらず、あらゆる人があらゆる時をいきいきと暮らす社会を思い描いて、教育・労働・家庭などのありかたを懸命に考えたことを思い出します。」

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今紹介した中で、勉強に触れた部分がありましたが、もちろん、ここで中村さんは「勉強すること」自体を否定しているわけではありません。そもそも中村さん自身、勉強して生命科学者者になったわけですから。むしろ、学ぶことをほんとうに突き詰めていくと、中村さんのような見方――人に対して優しく、自然や科学に対して謙虚になっていくのだなあ、と思います。自分なりに、「こういう生き方がしたい」「こういう社会を実現したい」と思って、そのために勉強することはまさに中村さんの言う「ふつうのおんなの子」の生きかたです。

現在の社会は「富と権力」が志向されると筆者は指摘していますが、そういう社会の不十分な部分を変えていくことのできる人こそ、「ふつうのおんなの子」ということになるでしょう。――つまり、みなさんです。

中村さんはこうしたことを1964年の「東京オリンピック」のころに考えた、と言っています。それから50年以上たち、しかし、社会の価値観が大きく変わったとは言えません。そして2020年には2度目の東京オリンピックが開かれます。この2度目のオリンピックをみなさんは見守ることになるでしょうし、中には関わる人もいるかもしれませんね。中村さんが問題意識をもった東京オリンピックから2度目のオリンピックがめぐってきて、そしてそれが何らかの契機になって社会が変わっていくとしたら、いえ、みなさんが変えていけるとしたらそれも素敵なことだと思います。そして、そういうことを実現するためには、社会のこと、社会の構造、世界の仕組み、問題点――そうした「本質」をしっかりと見抜く力が必要です。そこにこそ、学ぶことの本当の意味があります。

 

少し大きな話になりましたが、この秋みなさんは、「どう生きるか」「どういう社会を実現するか」という「生き方」を考えるヒントをたくさんの人からいただいたと思います。

これから始まる冬休み、ふだんよりは落ち着いて考える時間もあることでしょう。ぜひ、この2学期をゆっくりと振り返ってみてください。

高3の多くのみなさんは、もちろんこの冬休みはそれどころではないでしょう。でも、今、学んでいること、それ自身が、世界をよりよく変えていく礎になります。そして今日お話ししたことを、頭の隅っこにおいておいて、受験がひと段落したところでぜひもう一度考えてみてください。

それでは年末年始、慌しい期間に入りますが、健康に留意して、新年にまた元気な顔で登校してください。

 

 

 

 

最後に、活躍したクラブ・団体の報告がありました。

 

≪高校≫

高校書道

山田ののか 神奈川県高等学校教育書道コンクール 奨励賞

野原有夏  神奈川県高等学校教育書道コンクール 奨励賞

小泉真名  神奈川県高等学校教育書道コンクール 神奈川新聞社賞

 

書道部

岡村涼音  国際高校生選抜書展(書の甲子園) 入選

中須春佳  神奈川県高等学校書道展  優秀作品

古舘花   神奈川県高等学校書道展  特選

浅野万裕子 神奈川県高等学校書道展  特選

コーラス部  関東合唱コンクール 銀賞

高校バトントワリング部   バトントワリング関東大会 金賞を経て

              バトントワリング全国大会 銀賞

生物部  神奈川県高等学校理科部研究発表会  出場

高校新体操部  神奈川県高等学校新体操新人大会 女子団体  第4位

 

≪中学≫

中学卓球部  神奈川県私立中学校卓球大会 団体の部 準優勝

  坂本ひさぎ 神奈川県ジュニアオープン卓球大会 第3位

コーラス部  関東合唱コンクール 銀賞

中学バトントワリング部  バトントワリング神奈川県大会  出場

文芸部  三好真由  全国文芸サイエンスコンクール 旺文社赤尾義男記念賞(入選)